産業用ロボットで生産性をアップ!ロボットの活用事例と導入手順

生産数をもっと上げたいけど、作業者にこれ以上残業させたくない・・・」

「重い荷物を作業者に運ばせる工程があり、ケガの不安と隣り合わせ・・・」

「人による作業のバラツキを抑えたい・・・」

 

貴社の工場では、このようなことでお悩みではないでしょうか。

 

そのお悩み、産業用ロボットが解決してくれるかもしれません。

 

産業用ロボットを導入すれば、

 

  • 人の作業をロボットが行うことで、同じ作業者数でも生産効率が上がる。
  • 重労働をロボットが行うことで、人間の肉体的負担を減らせる。
  • ロボットの導入により品質が上がる。

 

このような効果が期待できます。

 

この記事では、

 

  • 産業用ロボットとは
  • 産業用ロボットの種類
  • 産業用ロボットの活用事例
  • 産業用ロボットの導入方法

 

について分かりやすく解説します。

 

この記事を読むと、産業用ロボットができることや、産業用ロボットの導入方法について大まかなイメージをつかむことができます。

 

ロボット導入を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

◆産業用ロボットとは

目次

産業用ロボットは、人間が行う作業を自動化するための産業機械です。

一般的に産業用ロボットというと、ロボットはアーム型の形状で、人間の腕が行う作業を行います。

産業用ロボットは、次の3つの部位で構成されています。

図:産業用ロボットの構成
  • マニピュレータ:本体部分となるロボットアーム
  • コントローラ:マニピュレータを動かすための指令を演算したり、次の動作を決めたりするための制御装置
  • ティーチングペンダント:マニピュレータの動きを教示(ティーチング)するための、ディスプレイとキーボードが一体化された装置

◆産業用ロボット導入のメリット

産業用ロボットを導入することで、次のようなメリットが期待できます。

 

 

1.省人化と作業効率化の実現


従来は人が担当していた作業をロボットに置き換えることで、現場の人手不足を解消します。

ロボットが得意な作業によっては、人が行うよりも効率がアップすることも期待できます。

 

 

2.重労働をロボットが行うことで、人間の肉体的負担を減らせる

 

1日8時間、10kg~20kgの荷物を人が持ち運びする作業を想像してください。

 

作業者の腰痛などのケガのリスク、重労働による疲労からくる集中力の低下による二次災害が考えられます。

 

そのような重労働をロボットに置き換えることで、人間の作業者の肉体的負担を減らすことが期待できます。

 

 

3.ロボット導入により品質が上がる

 

ロボットは精密な動作をくりかえすのが得意なので、これによって作業工程の品質が上がることが期待できます。

 

例えば、接着剤を塗布する工程を考えてみましょう。

 

人間の作業者だと接着剤の塗布量、塗布範囲にバラツキがでてきます。

 

作業者によってもバラツキがありますし、同じ作業者であっても朝と夕方の作業ではバラツキが出てくるでしょう。

 

ロボットだと毎回少ないバラツキで正確に接着剤を塗布することが可能となります。

◆産業用ロボットの種類とできること

産業用ロボットは、ロボットアームの形状によっていくつか種類があります。

ここでは代表的な5種類を取り上げ、それぞれのロボットができる作業を解説します。

 

  • 垂直多関節ロボット
  • 水平多関節ロボット(スカラロボット)
  • パラレルリンクロボット
  • 直交ロボット
  • 人協働ロボット

垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットの外観 出展:ハンドリングロボット - MOTOMAN-GP8 - 仕様

垂直多関節ロボットは、関節がベースから上に積みあがるようなロボットアームの構造をしています。

 

垂直多関節ロボットの特徴は「手先の位置・姿勢を自由に決めることができることで多様な作業ができる」ことにあります。

 

例えば、手先を斜めに傾けつつ、直線の軌道で動くといった動作ができます。


このため、さまざまな角度からの作業が求められる溶接組立といった作業が得意です。

 

垂直多関節ロボットは可搬重量が1kg~1,000kg程度のラインナップがあり、大型のロボットを使えば重量物の搬送も自動化することができます。

水平多関節ロボット(スカラロボット)

水平多関節ロボットの外観 出展:水平多関節(スカラ)ロボット - EPSON

水平多関節ロボットは、関節が水平に配置されるようなロボットアームの構造をしています。

 

水平多関節ロボットは「スカラロボット」とも呼ばれています。スカラ(SCARA)とは、「Selective Compliance Assembly Robot Arm」の略と言われています(※)。

 

※参照URL

https://ja.wikipedia.org/wiki/水平多関節ロボット

 

水平多関節ロボットの特徴は「水平方向の動作を素早く行える」ことにあります。

 

例えば、電子基板に配置されたねじ穴に素早くアプローチすることが得意です。

 

このため、基板のねじ締めや、部品を搬送してトレーに整列するなどの作業が得意です。

パラレルリンクロボット

パラレルリンクロボットの外観 出展:Delta robots - ABB

パラレルリンクロボットは、土台から3本のアームが並列に手先に繋がるようなロボットアームの構造をしています。

 

パラレルリンクロボットの特徴は「アームが軽量であるため、手先を素早く動かせる」ことにあります。

 

このため、ベルトコンベヤで流れてくるワークを箱詰めするといった作業が得意です。

直交ロボット

直交ロボットの外観 出展:直交ロボット | タイプ・シリーズ一覧 | 製品情報 | アイエイアイ

直交ロボットは、X軸・Y軸・Z軸の直動軸を組み合わせた構造をしています。

 

直交ロボットの特徴は「直交座標(X・Y・Z)の動きが比較的低コストで実現できる」ことにあります。

 

このため、直線的なワークの搬送や、平面上の基板のねじ締めといった作業が得意です。

人協働ロボット

人協働ロボットの外観 出展:ユニバーサルロボットの協働ロボット - Universal Robots

人協働ロボットは、近年普及し始めている新しいコンセプトのロボットで、「安全柵が不要で、立ち上げが容易」であることが特徴です。

 

安全性を重視した産業用ロボットのため、基本的に安全柵なしで人と同じ空間で働くことができます。

 

安全柵をなくすことで、小さいスペースでもロボットが導入できるというメリットもあります。

 

人協働ロボットの立ち上げが容易なのは、軽量で持ち運びがしやすく、ロボットのティーチングがしやすいことにあります。

 

人協働ロボットのティーチングは、ダイレクトティーチングという手法を採用しています。

 

ダイレクトティーチングは、人間がロボットの手先を直接持ってロボットが動くべき位置を教える手法で、従来より短い訓練期間でロボットを扱うことができます。

 

そのため、ロボットに慣れていない生産技術者でも導入が容易です。

 

人協働ロボットには、人と同じ空間で組立や重量物の搬送などの作業をさせるのがよいでしょう。

◆産業用ロボットの活用事例

ここでは、産業用ロボットの具体的な活用事例を紹介します。

事例1.金属部品の溶接 

ワークを作業台に設置すると、ロボットが部品を溶接するという事例です。

 

繰り返し正確な動作ができるロボットが溶接することで、溶接の品質が安定します。

 

また、ベテラン職人の熟練ノウハウをロボットに移植できれば、溶接技術を属人化させず企業のノウハウとすることが可能となります。

 

従来のロボットシステムでは、部品の製造誤差などで溶接位置がずれたときにうまく溶接できないという課題がありました。

 

近年は、3Dスキャナで部品をスキャンし、ロボットに正確な溶接位置を認識させることで、位置がずれても溶接できるようなシステムの事例もあります。

 

 

事例2.工作機械へのワークの取り付け・取り外し

 

ロボットが次のような作業を行う事例です。

 

  • 加工前のワークをハンドでつかんで工作機械に設置する
  • 加工後のワークを工作機械から取り出し、パレットやコンベヤに置く

 近年のNC工作機械は多くの加工を自動で行うことができるので、ロボットと組み合わせて夜間でも連続稼働でワークの生産台数を増やすことが期待できます。

 

工場の生産スペースに制約があり、ロボットと人を隔てる安全柵が設置できないケースもあるかと思います。

 

このような場合は、人協働ロボットの導入を検討する余地があるでしょう。

人協働ロボットを使うと安全柵が不要で、フットプリントを小さくできることが期待できます。

 

 

事例3.食品の箱詰め

 

コンベヤから流れてきた食品をロボット先端のハンドでつかんで、箱に詰めるという事例です。

 

このような作業は手先を素早く動かせるパラレルリンクロボットが得意です。

 

ロボットによっては食品工場でも使用できるグレードがあり、衛生面と生産性の両方に配慮することができます

 

 

事例4.段ボールの積み上げ・積み下ろし

 

  • 商品が入った段ボールを台車に積み上げる
  • 倉庫に入荷された商品を積み下ろしし、コンベヤに乗せ換える 

このような段ボールの積み上げ・積み下ろし工程でもロボットが活用されています。

 

ロボットは、天井に設置されたカメラで段ボールの積み上げ状況を認識します。

 

人の代わりにロボットが積み上げを行うことで、作業者は人間しかできない付加価値の高い作業に専念することができます。

 

また、荷物の積み上げ・積み下ろしに起因した腰痛などの労働災害も減らすことが期待できます。

◆産業用ロボットの導入方法

一般的に、次のような手順で産業用ロボットを導入します。

1.自動化したいことを明確にする

工場の生産工程の課題を明確にし、具体的に困っていることを洗い出します。

例1:20kgの荷物を積み上げる工程があり、人手でやると腰痛のリスクがある。

例2:毎分〇個の食品をパッキングしたいが、ラインを増やさずに実現したい。

 

 

2.ロボットSIerやロボット代理店に相談する。


お近くのロボットSIerや、ロボット代理店に相談をします。

 

 

3.具体的な仕様の打ち合わせをする


自動化したい内容をロボットSIerに相談します。

 

 

4.ロボットSIerからの仕様・見積りをすり合わせ、問題なければ発注する


ロボットSIerが具体的なロボットシステムの提案を行いますので、仕様・予算内容に問題なければ発注します。

 

 

 

5.ロボットシステムの現地立ち上げをする


ロボットSIerの現地立ち上げに立ち会います。

 

ロボットSIerがスムーズに立ち上げできるよう、自社のロボット導入スペースや電源などを事前に確保しておきましょう。

 

 

6.ロボットシステムの運用・保守・改善

 

ロボットシステムを日々の生産現場で運用します。

 

ロボットの部品が壊れた時の保守や、ロボットのプログラム変更、システムの改善などでロボットSIerに継続して関わってもらえると良いでしょう。

 

ロボット導入のサポートは当社にお任せください!

 

  • どのロボットSIerに相談していいか分からない
  • 近くに相談できる相手がいない
  • ロボットや自動化に詳しい社員が自社におらず、ロボットSIerと話ができるか不安
  • 利益関係のない第三者の目線でアドバイスがほしい

初めてロボットを導入する際は、このような不安があると思います。

 

当社でロボット導入のサポートをいたしますので、お気軽にご相談ください!

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